わざわざ教室なんて開かなくても、年に1回講習としてやればいいんじゃないかとか。


もっと他のことにお金を使うべきだ。


新しい工場を建てたらどうか、とか。


それでも、こうして出来るようになったのは。


龍矢がいろんな人を説得してくれたから。


そこまでしてやらせてくれたんだから。


半端な気持ちでこの仕事はできない。


トントン


「社長。小林です」


小林さんが、社長室と書かれた部屋をノックした。


「小林さん、私やっぱこれで」


「ダメよ。ここまで来たんだから」


「はぁ」


どうぞって、中から龍矢の声がする。


「行くわよ」