「わっ!」


ケータイの存在忘れてた。


会社の前で電話に出てから、握りしめたままだっけ。


ブルブル震えてる。


「出ていいのよ」


「すみません」


立ちあがって、壁際による。


「もしもし?」


「早く来いって言ったよな?」


「ごめん」


「迷子にでもなったか?」


向こうで意地悪く笑ってる、龍矢の顔が浮かんだ。


「違うもん。会議中!」


そう言って、ケータイを切ってやった。


ばか、龍矢。