「どうだ?」


「えっ?」


「初仕事」


「・・・落ち込んだ」


「なぜ?」


「なぜって・・・なんかいろいろ違いすぎて。自分の意見は言えないし、バリバリ仕事してきた人たちの中に入って、やっていけるのかなって不安になったり」


そう言うと美和は、うつむいてしまった。


俺は美和の頬を両手で包むと、顔を持ち上げた。


「始めから完璧な人間なんかいない。最初はできなくて当たり前だ」


「うん。でも・・・」


「でも?」


「選ばれたんだから、しっかりしなくちゃって思うの」


「今はできることだけやればいい」


「うん」


「わからないのに、わかったふりをするのはよくない」