「ここだ」


階段を上って、すぐ左。


新事業立ち上げ会議って張り紙がしてある会議室を見つけた。


思わず、持ってたかばんの持ち手の部分をぎゅっと握りしめてしまった。


ここで、私の社会人としての一歩が始まる。


会社に入る前より、足が震えた。


なかなか一歩が踏み出せなかった。


そのとき、誰かに背中をポンポンって叩かれた。


「えっ?」


横を見ると、龍矢が何人かの人を引き連れて会議室に入って行った。


「なんか、落ち着いたかも」


目を閉じて、深呼吸。


大丈夫、行ける。


そう思って、ドアを開けた。


龍矢と目が合った。