どう乗ったらいいかわからなくて、とりあえず横座り。


「ちゃんとつかまってて」


「うん」


自転車が走り出した。


少し暑い風が、もうすぐ夏だってことを教えてくれてる気がした。


「ごめんね、翔馬」


「同じ方向じゃん。気にすんな」


「でも駅来たら、家まで遠くなるんじゃない?」


「いいって別に。これも体力作り」


「ありがと」


翔馬の背中と、ひろ君の背中はやっぱ違うんだなーってなんとなく思った。


翔馬の背中は、筋肉がついてるのかちょっと堅い。


ひろ君の背中は、やさしい。


やさしいって表現おかしいかな?


でも、やさしいんだ。