「なんでわかるんですか?」


「そりゃ何人もの患者さん診てるし、その家族、恋人もね。なんとなくわかるのよ」


「そんなもんですかね」


「まぁ頑張って」


「頑張ってって・・・」


「いまさら無理とか思っちゃだめよ。春菜ちゃんは待ってるかもしれないわよ」


春菜が待ってる?


そんなわけないだろ。


「まぁ冗談はそれくらいにして」


今まで、おばさんのご近所話しって表情をしていた怜香先生が、急に医者の顔に戻った。


「あんまり無理させないでね、春菜ちゃん」


「はい」


「熱が下がっても、1日2日は学校休ませてよ」


「わかりました」


「いい。今春菜ちゃんを守れるのはあなただけなんだからね」