「俺の名前、知ってるんだ」


「はい。春菜から聞きました」


「そっか。それで?なんでそんなこと聞くの?」


「別にたいした意味はないですけど」


「いるって言ったら?」


「じゃあ、俺が春菜もらってもいいですよね?」


「春菜がもし君のこと好きだって言ったらね」


「失礼します」


俺は、弘樹さんに頭を下げて家を出てきた。


弘樹さん。


いい人そうだった。


きっと、ずっと一緒に居た二人だから。


今ちょっと会っただけの俺にはわからない、いいところがいっぱいあるんだろう。


でも、春菜。


つらいなら、俺のところに来いよ。