「春菜、大丈夫かな?」


春菜が出て行ったあとを、目で追いながら希美が言った。


「風邪だろ?そんな心配しなくても」


「そうじゃなくってね、結華」


「まあね」


「なんだよそれ」


俺はなるべく、普通に聞いたつもりだった。


「翔馬、声大きい」


「悪い」


気づかず、声がデカくなってたらしい。


「無理してるんだよ、あの子」


「かわいそう、春菜」


「かわいそうって?」


結華と希美が、顔を見合わせた。


話そうか迷ってる顔だった。