「春菜を預かって欲しい?」


突然の親の申し出。


「そうなのよ。春菜ちゃんのご両親が海外転勤になっちゃってね、家で預かるわ~って言ったのはいいんだけど」


「うちも転勤になったと」


「そうなんだよ」


春菜と俺は、いわゆる幼なじみ。


6歳も違うから、兄妹って言った方がいいかもしれない。


妹みたいに可愛がってきた。


でも、妹以上に思ってることを。


春菜は知らない。


俺のことは、兄としか思っていない。


だから。


この気持ちは伝えない。


この関係が崩れるのは嫌だ。


それに、6歳も上の俺を受け入れるわけない。