そんな匂いさせないで。


「春菜、もしかして」


私のおでこに、ひろ君の手が伸びた。


思わず、一歩下がってしまった。


「春菜?」


「大丈夫。熱とかないから」


逃げるように、キッチンを出た。


リビングを出ようと、するとき。


私に視線が注がれた。


「ごめんなさい。お騒がせして」


「怪我してない?」


ひろ君とキスしてた女の人が私に聞いた。


「大丈夫です」


ほとんど走るように。


その場を出てきた。