テーブルには食事が用意されていた。― これは朝飯か?それともひるめしか?ほくは、それをちらっと見ただけでテーブルにはつかずソファーに寝転びテレビのスイッチをいれた。
「いい気なもんね!」
母はぶつぶつ言いながらでていった。どうやら、休憩時間に様子を見に戻ってきたらしい。
ぼくは、究極のなまけものだ。そんなぼくだが働くということに希望を持っていた時期もあった。
3年前
ぼくは、教師を夢みて大学にかよっていた。
「あの鈴木先生のかお見たか?」
実習生仲間ね望が笑いをこらえながら言った。
「おまえ、やることふるすぎ!(笑)」
望は指導担当の教師に子ども達といたずらをしかけたのだ。それも、黒板消しを落とすというあの古典的ないたずらを!
「いいんだよ!これぐらいがかわいげがあって」
たのしそうに望むが言う。「そうだな(笑)」
ぼくも望の意見には賛成だ。子ども達としっかりと関わった教育がしたい!たまにはこんないたずらもしながら(笑)
そんな夢は就職して1ヶ月早くも壊された。
教員採用試験に失敗したぼくは、臨時教諭としてある学校に勤務していた。
しかし、まともに子ども達と関われず連日、掃除と雑務の毎日…。あげくのはてに任期切れと同時にクビだ。その後、教師としての仕事は見つからず、何度も転職を繰り返した。
テレビからは派遣切の報道がながれていた。
「ふうー」
ぼくは、大きく息を吐くとスイッチを切り家から出た。