「それからは、ユキから目が離せなくなって…

いつのまにかユキしか見えなくなってた」


荘司の視線に熱が帯びる。


「…会社を立ち上げたら、今よりも忙しくなるかもしれない。でも、ワガママだけど、ユキにこれ以上会えなくなるのも嫌だ…」





荘司は、上着の内ポケットから何かを取り出すと、わたしの手の平に置いた。










「…結婚、してほしい」









小さな箱を開くと、バーの暗めの照明の中でも一際輝く、ダイヤの指輪がおさまっていた。