「龍希くん!!やっぱりここね。」
はぁはぁと息を乱しながら俺を呼ぶ声。
「上原さん…」
上原さん。名医と名の高い俺の
担当医だ。でも、その上原さんでも
俺の病気は治せない。
それには理由もあるけど。
「もー、検診なのに病室いないから
びっくりしちゃった。」
「すいません。」
「だからきっと、ここだと思って。」
屋上、俺はいつもここに居る。
嫌な時、泣きたい時、
気づいたらここに立っている。
まるで何かに
導かれたかのように。
「ここ好きなの?」
「え…?」
「だって、いつもいるもんね。」
「大っきらいだよ。こんな場所」
そう、大っきらい。
こんなにも空の見える場所なんか、
無限に広がる空なんか、
大きな大きな空なんか、
俺には残り少ない時間しかないのに…