くくくと笑って手を離してやると
〝いったーい〟と頬をさすりながら
皐月は病室に帰って行った。
井上皐月
皐月は俺より一つ下で
一週間前に入院してきた子。
明るくて活発で、病気とは思えない
とても元気な女の子。
皐月が何の病気なのか
よくわからないけどきっと
大した病気じゃないと思う。
あんなにはしゃぎまわってるし。
そして、俺に明るさを
取り戻させてくれたもう一人の人。
あれは、一週間前のことだった。
紗姫からあの話を聞いて屋上から
自分の病室へ帰った時のことだった。
――1週間前
やっぱり俺は逃げているんだろうか…
自分ではよくわからないんだよな…
そんなことを考えながら
病室のドアを開けた。
「ベットにでも入りながら考えるか…」
ごそごそ
「ん?」
おかしいな、何かベットの中にいる!?