「最後まで本当に強かった。
希望を捨てなかった。
辛いはずなのにそんな素振りを
全く見せなかった。
本当に本当に悟兄さんは
あたしの誇りなの。
だから真姫ちゃんは医者を
目指し出した。
あたしたちみたいに悲しむ人が
一人でも多くいなくなるように。
悟兄さんと真姫ちゃんとあたしは
血はつながってなくても本当の
兄弟だったから。」
紗姫の話す話は俺の心に
深く深くこだました。
「そうか…」
「だから、龍希には希望を持ってほしい。
〝どうせ俺なんか〟とか
思ってほしくないよ。」
そして紗姫は涙を流した。
紗姫の涙は乾ききった俺の心に沁み渡り、
潤してくれているような気がした。