あたしは心臓の早さが元に戻るのをただ立ちすくして待っていると


「なんだよ。早くついてこいよ」

と、彼が振り返った。



「あ、うん」

あたしは前を歩く大きな背中を見つめて歩いた…。




「ねぇ!」

口から出た言葉で、彼は足をとめて振り向く。


「何?」

「名前とか、歳とかって…。」

「えー、秘密。」


といってニコッと笑った。


そんな彼にとっては普通のことでも、あたしはキュンとときめいていた。