廊下を歩き出そうとすると、高橋先生が追い掛けて来て私の腕を掴んだ。


我に返って、振り返ると声は聞こえなくなっていた。視界に入る手術中の赤いランプが消えた。お母さんは立ち上がってドアの前に駆け寄る。


病院の先生が出て来るとお母さんに話し出した。


「頭を強く打ったようで止血はできましたが、衝撃が大きかったと思いますので、いつ目を覚ますかは今の時点ではハッキリ断定できません。」


お母さんは廊下に泣き崩れた。高橋先生は私の肩を抱いて唇を噛み締めていた。

お母さん…お父さんは寝たままだって事?