と、その時。


「‥‥あ、」




来た!




私は何故か、紙袋を体の後ろに隠した。

向こうの方からこっちに歩いてくる男の子。
いつもの制服にいつもの大きなカバン。
チョコレイト色のマフラー。


あの彼だ‥‥。
ガラス越しじゃなくて彼を見るの、初めてかも。
心臓がどきどきしすぎて、手が震えすぎて、もう本当にやばい。



私はうつむいて立ったまま、彼が近づいてくるのを待った。