まぁ、でも‥‥
彼とは実際、知り合いでも何でもないんだけどね。

だから私は彼の名前を知らないし、
いつも部活帰りみたいな感じだけど何部なのかも知らない。
もしかしたらめっちゃ可愛い彼女が居たりするのかもしれないけど、それも知らない。



彼が通り過ぎたガラスの向こうから目をそらして、
私はふぅ、と息をつく。




‥‥それでも。
それでも、やっぱり気になってしまうんだ。

自分でもよく分かんないんだけど。
いつも彼が通る午後七時、
気づくとそわそわしながら外を目で探してしまうの。