私はあわててその場から走り出し、この道から曲がる道をのぞいてみた。
コンビニの向こう側の曲がり角、そのまた向こうの曲がり角、もうひとつむこうの曲がり角。
そうしてのぞいてみても、そこにはもう彼の姿は無かった。



「そんな‥‥。
せっかくここまで来たのに。

完全に、見失っちゃったよ‥‥。」



私は彼の名前も知らないけれど。
ガラス越しに見つけるだけでいつも嬉しくてたまらなくなる、彼の姿。
いつも、ただ見てるだけだった憧れの存在。


‥‥だけど今日は、バレンタインデーだから。
勇気を、出してみようと思ったのに‥‥。