そう言って笑いながら、バンソウコウのシール部分をはがす。
「お前こそ、血出てんぞ」
彼はバンソウコウを右手でつまんで、
ぺたん、と男の子の頬に貼った。
「‥‥ありがとう!」
男の子は驚いたように彼の顔を見た後、
照れくさそうに笑う。
彼は自分のカバンを肩にかけ直し、
男の子の自転車を起こしてやりながら言った。
「もうコケないようにな。
気をつけて帰れよー。」
そして彼は、にっ、と笑った。
優しそうな、笑顔。
いつも優しそうだなと思っていた彼の目は、
笑顔になるとこんなにも、優しさを増すんだ。
私はその横顔から目が離せなくなった。
お店の照明がそっと当たった彼の笑顔は、
本当にびっくりするくらいに‥‥、
きらきらして見えたんだ。