男の子の方も、あわてて立ち上がる。


「僕は大丈夫です!
ごめんなさい!

‥‥あ、手ケガしてますよ!」


男の子は、彼の手を指さした。
手の甲の部分が、かすり傷になって血が出ているみたい。



「これ、使ってください。
ほんとにごめんなさい」

男の子はそう言いながら、
リュックの外ポケットからバンソウコウを1枚出して彼に手渡した。



彼は一瞬驚いたような顔をしてそれを受け取ると、
ははっ、とおかしそうに笑った。

「子供らしくない奴だなぁ、
こんなケガくらい部活でしょっちゅうやってるから、気にすんな」