今日も彼はたぶん、この道を通る。
私のバイト先『ルミナリエ』は小さなケーキ屋。
店はケーキ屋によくある形のカウンター型で、
店先は全部ガラス張り。
だから、お客さんが居ない時は私はいつも店の外を眺めてるんだ。
店の前にはそれなりに太い道路が通っていて
道路の向こう側にはわりと大きな本屋とレコードショップがどん、と建っている。
「‥‥ふぅ」
大きく伸びをして、カウンターに軽くもたれかかる。
お客さんの居ない今は、お店のカウンターに居るのは私だけ。
他には店長が裏の事務所に居て、パティシエの鈴木さんが中で明日のケーキの下準備をしてる。
時計を見ると、午後七時。
そろそろかな、と私は思う。