病室のドアからひきづり出したのは 車椅子―。 のりたくない… でも… 栄一が一緒なら― 栄一のためなら― 行ける気がしたんだ。 「ほら、手!」 差し出された 栄一の手。 やせていて、 いまにも折れそうな手だけど、 でも… 大きくて… いつでも私を 包みこんでいきそうなぐらい 「手!」 私は少し怒りぎみに紙に書いた。 「¨一人で大丈夫ですっ!¨」