一瞬足を止めて俺と拓海を見たその子は、ニッコリ笑ってそのまま横を通り過ぎていった


―――可愛い子じゃん


いくら俺が小柄でも、それとは違う女の子独特の狭い肩幅や丸みのある体
茶色の髪も歩くだけでふわふわしてて、 俺には真似できるところが無い

なんであの子より俺なんだ、って思う


階段を降りて廊下を曲がろうとするその女の子の後ろ姿を見ながら、そんなことを考えていたら

「わっ!・・・なっちゃん、拓海!なんで居るんだよっ?!」

・・・春夜にまで見つかった

「よ、オトコマエ」
拓海は隠れる気もないのか階段に座り込んで春夜を茶化した
拓海の冷やかしは聞き流して、春夜が青いんだか赤いんだかわからない顔で俺を見て聞く

「なっちゃん・・・聞いてた?よな?」