助けを求める気持ちで拓海を見ると、拓海は小声だけどあやすような優しく言った

「イヤでも聞いてな。なっちゃんにもこれはいい機会だから あいつの男っぷりもちょっとは見てやってよ」

なんで、俺にとって『いい機会』なんだ?さっきからすごい嫌な気分しかしない
階段上の二人の声がしばらく静まった後、春夜の声がはっきり響いた

「俺は、あんたでもあんたじゃなくても好きにならない」



「・・・なんで言い切れるの?」

さっきまで余裕だった女の声に怒りが混ざったのがはっきりわかる

「俺もう好きな人いるから。その人以外は絶対に好きにならない」

―――再び、しんと静まり返る

俺、今息が止まるかと思うほど苦しくて、すごい顔に熱が集中してる