「リュイ、契約ってなあに? 一体何をしたの?」


「オレがあの水晶から出てくるには、オレの為に泣いてくれる涙が必要だったんだ」


リュイはレオノーラの肩に座り、まだ赤みの強い金髪を撫でながら話し始めました。


「オレは悪い奴に騙されて、この水晶に封印されちまったんだ。
暴れても、どうやっても出られなくってさ。
そしたら、オレを騙した奴が、オレの為に流れた涙がないと、そこからは永遠に出られないぞって言ったんだ」


「まあ、ひどい」


レオノーラは憤慨して言いました。悪戯にしてもひどすぎます。


「そうだろ。それでオレは、ずっとオレを見つけてくれる人を待ってたんだ。でも誰も見つけてくれなくて。
そしたら段々息苦しくなってきてさ、こりゃヤバいと思って、残り少ない力を使って誓いの魔法を使ったのさ」


「誓い?」


「オレの為に泣いてくれる人と出会えたなら、その人を主としてお仕えしますって、誓い。
確かな気持ちで誓えば、それは魔法の力となって、叶うんだ」


その誓いを果たす為、リュイはレオノーラと主従の契約を結んだのでした。


「ふん、なるほどな。
そんな事であれば、あたしにゃお前さんを助けられなかったろうて」


横で様子を見ていたパメラが言いました。