「オレの名前はリュイ。よろしくな。
お前の名前は?」


リュイはレオノーラの膝にふわりと立ち、水掻きのある右手を差し出しました。レオノーラは戸惑いながらも右手を出し、小さな手を握りました。


「わ、私の名前はレオノーラよ。よろしくね」


「レオノーラだな。よし、じゃあ契約をしよう」


「え? けいやく?」


レオノーラの問い返しも聞かずに、リュイはぶつぶつと呪文を唱え始めました。握っているリュイの手が、熱を帯びてきました。


「何? リュイ、何をしているの?」


リュイが手をほどき、レオノーラの顔の前にふわっと飛びました。


「我汝を主とし、その命により力を使い、お守りすることを誓う。今その証とし、契約の印を結ぶなり」


リュイの小さな唇が、レオノーラの額に触れました。
と同時に温かなものが流れ込んでくるような感覚がして、レオノーラはきゅっと目を閉じました。


「……さあ、契約終了だ! これからよろしくな」


暖かなそれが離れたかと思うと、底抜けに明るいリュイの声が耳元でして、レオノーラはぱっと目を開けました。