にこにこと満面の笑みを浮かべたお母さんに見送られて、レオノーラは小さな我が家を出ました。
小さな馬車の中、お婆さんと向かい合うように座ったレオノーラは、そっと目に滲んだ涙をぬぐいました。
「めそめそするんじゃないよ。自分の意志で来たんだろう」
お婆さんが吐き捨てるように言いました。
「ご、ごめんなさい」
レオノーラはぱっと俯いて言いました。そうっと窺い見ると、お婆さんは気難しい顔をして目を閉じています。
一体このお婆さんは誰なのでしょう?
何だか冷たくて、怖い雰囲気です。
何か話しかけてみようかしら。でも、何て言っていいのか分からないし。
レオノーラは馬車に取り付けられた小さな窓の向こうを流れる景色を、なんとなしに眺めました。
がたんがたんと揺れながらどんどん後ろに流れて行く風景。初めてみる光景にレオノーラは自然と身を乗り出していました。
いつも花を売っていた広場や、たまにケーキの切れ端をくれたハリスのパン屋さん、素敵な蝶々の髪留めが飾られているマダム・ローズ、みんなゆっくりと流れるように遠ざかっていきます。
小さな馬車の中、お婆さんと向かい合うように座ったレオノーラは、そっと目に滲んだ涙をぬぐいました。
「めそめそするんじゃないよ。自分の意志で来たんだろう」
お婆さんが吐き捨てるように言いました。
「ご、ごめんなさい」
レオノーラはぱっと俯いて言いました。そうっと窺い見ると、お婆さんは気難しい顔をして目を閉じています。
一体このお婆さんは誰なのでしょう?
何だか冷たくて、怖い雰囲気です。
何か話しかけてみようかしら。でも、何て言っていいのか分からないし。
レオノーラは馬車に取り付けられた小さな窓の向こうを流れる景色を、なんとなしに眺めました。
がたんがたんと揺れながらどんどん後ろに流れて行く風景。初めてみる光景にレオノーラは自然と身を乗り出していました。
いつも花を売っていた広場や、たまにケーキの切れ端をくれたハリスのパン屋さん、素敵な蝶々の髪留めが飾られているマダム・ローズ、みんなゆっくりと流れるように遠ざかっていきます。