「よくやったね。
その話が本当なら、お前は妖精に愛でられた娘になるんだよ」


「妖精に愛でられた娘って……、あのお伽話の?」


「そうさ。さあ、顔をよーく、見せてごらん」


お母さんはレオノーラの頬に手を添えて、顔を真剣な目で見つめました。
色んな角度からじろじろと見て、ほう、だの、おやおや、だの言い、最後に満足そうに笑いました。


「こりゅあ、間違いないようだね。すごいじゃないか。お前は妖精に愛でられたんだよ」


「どういうこと?」


お母さんはレオノーラの顔を優しく撫でながら、こんな事は初めての事でレオノーラはどきどきしたのですが、言いました。


「お前はね、昨日とは顔つきが違ってる。髪も、眼も、肌も。妖精に愛でられた者は甘い香りがして、魅力的になるそうだからね。今のお前からは砂糖菓子のような香りがするよ」


レオノーラは慌てて自分の腕を嗅いでみました。何の変わりもない、当たり前の自分の腕です。それに、顔つきと言っても湖で見た自分に大した変化はありませんでした。


「お母さん、私よく分からないわ」