山を転がるように駆け降りたレオノーラは、勢いよく家の扉を叩きました。


「お前、今まで何してたんだい!?
お父さんがあんたを心配して、山に入って大怪我をしたっていうのに!」


レオノーラの顔を見るなり、お母さんは怒鳴りました。


お父さんが怪我!?
レオノーラは真っ青になって、お母さんに謝りました。



お父さんは帰って来ないレオノーラを探して夜の山に入り、崖で足を滑らせたのだそうです。

あばら骨と右腕、左足を骨折したお父さんは、ベッドの上でうんうん唸っていました。


「ああ、お父さんごめんなさい。私が森に入り込んでしまったばっかりに」


レオノーラはお父さんのベッドに駆け寄って泣き崩れました。


「お医者さんに見てもらうのにもお金がかかるし、このままじゃ仕事だって出来やしない。
お前の花売りに、あたしの糸紡ぎだけじゃ生活できないし、これからどうしよう」


お母さんはイライラとベッドの横の椅子に座って、言いました。


お金。
さめざめと泣いていたレオノーラは、大事な事を思い出しました。