レオノーラは湖面に写る自分の顔を、じいっと眺めました。


いつもより少しだけ、赤毛が柔らかな金髪に見える気がします。そばかすの浮いた肌も、卵のようにつるんとしているような。


気のせいかしら?


レオノーラは首を傾げたものの、結局は気のせいかなと思い直して、立ち上がりました。


早く街へ戻って、お母さんに妖精の涙を見せよう。
お父さんの好きなクコ酒だっていっぱい買える。お母さんだって、綺麗なドレスを着れるかもしれないわ。
そして、もしかしたら私も学校に行っていいと言われるかもしれない…。


レオノーラは胸が弾んで、転がっていた花カゴを拾うのももどかしく湖を後にしました。
もちろん、紫色の花を踏まないように気をつけて。