「すごいわ、素晴らしいわ。
とっても神秘的で美しい妖精さんよ」


レオノーラは興奮で頬を真っ赤にさせて言いました。

ああ、何て可愛らしいのかしら。
それに、この月の光にそんな魔力があるなんて。


妖精は羽根をぎこちなく震わせて、宙をくるりと舞いました。


「ああ、気持ちいいわ。ずっと空を飛ぶのが夢だったのよ。今ならあのお月様まで行けるわ」


妖精はレオノーラの目の前にふわりと浮きました。


「私を摘まないでいてくれてありがとう。それで、もう一つお願いなんだけど、この場所のことを内緒にしていてもらえないかしら?」


「え? どうして?」


「この湖はね、私たち妖精族が生まれる、大事な場所なの。
見て、あそこに咲いている花たちはみんな、私の妹なのよ」


妖精は、紫色の花々を指差しながら言いました。


「ここが人間たちに知られたら、きっと荒らされてしまう。
そうしたら、妹たちは妖精になれないわ。だからお願い、秘密にしておいて」


「そう、そうなの……。
困ったわ、それじゃあお母さんに何て言って謝ろうかしら」


レオノーラは溜め息をつきました。