「お願いです。私をこのままにしておいて下さいませ」
真珠色の花から声がしました。幼い女の子のような、高い声です。
レオノーラは驚いて尻餅をつきました。
「え? 今、お花から声がした?」
「そうです、私です。お願いです。私の話を聞いて下さいませ」
花は花びらを震わせて話かけてきます。
レオノーラはどきどきする胸を押さえて、おずおずと聞きました。
「あ、あの。あなたは何で、お話ができるの? 摘んだりしないから、教えてちょうだいな」
花は夜露の滴も震わせて、しゃべります。
「私は月乞草。
月の光を浴びて育つ花なのです。
私たち月乞草は、満月の光を九十九夜浴びると、月の力によって妖精に生まれ変われるのです。
そして今夜がその九十九夜目。
妖精に生まれ変われる夜なのです。お願いです、どうか私を摘まないで下さいませ」
「ええ、分かったわ。でも、あなたが妖精になるのを見ていても構わない?」
レオノーラはわくわくしながら言いました。
妖精が生まれる瞬間なんて、簡単に見られるものではありません。
真珠色の花から声がしました。幼い女の子のような、高い声です。
レオノーラは驚いて尻餅をつきました。
「え? 今、お花から声がした?」
「そうです、私です。お願いです。私の話を聞いて下さいませ」
花は花びらを震わせて話かけてきます。
レオノーラはどきどきする胸を押さえて、おずおずと聞きました。
「あ、あの。あなたは何で、お話ができるの? 摘んだりしないから、教えてちょうだいな」
花は夜露の滴も震わせて、しゃべります。
「私は月乞草。
月の光を浴びて育つ花なのです。
私たち月乞草は、満月の光を九十九夜浴びると、月の力によって妖精に生まれ変われるのです。
そして今夜がその九十九夜目。
妖精に生まれ変われる夜なのです。お願いです、どうか私を摘まないで下さいませ」
「ええ、分かったわ。でも、あなたが妖精になるのを見ていても構わない?」
レオノーラはわくわくしながら言いました。
妖精が生まれる瞬間なんて、簡単に見られるものではありません。