レオノーラは湖の縁に座り、そっと水面に口をつけました。

甘く爽やかな水をこくんこくんと飲むと、長く歩いた疲れが瞬く間に癒えていきました。


「ああ、おいしい」


レオノーラは好きなだけ湖の水を飲んでから、ふうっと溜め息をつきながら寝そべりました。
薄い紫色の花から、砂糖菓子のような甘い香りがしてレオノーラの鼻をくすぐります。

そうだわ。
明日はこの花を摘んで売ろうかしら。
グラニー家の奥様だったら喜んで買って下さるわ。
あの方は新しいものがとてもお好きだし、何よりこんないい香りがするものを、喜ばない訳がないわ。