テストを終えた、放課後の生徒会室。

「俺一人から始まって、やっと生徒会らしくなってきたな〜」

ほのぼのと語るは生徒会長、菊地春樹。

「まぁ俺はアキと一緒ならなんでもいいけどね」

退屈そうに欠伸をするのは副会長、九城市矢。

「あんたは、せっかく菊地先輩が生徒会を本格始動させようって時に」

呑気に欠伸なんかしないの!

市矢の耳を引っ張るのは生徒会会計、中里亜姫。

「ちょっと待っててね。もうすぐ四人目がくるから」

春樹はへらへらと笑いながら。

「あんだ、もう一人決まってたのか」
「なんとなく予想はつくだろ?」

わかんねー。

「今日帰って来るんだよ」

誰が?

市矢と亜姫は頭を捻った。
開かれるドア。

「失礼しま…」

眼鏡をかけ、色白で華奢な男。
春樹と目を合わせ、すぐに視線を市矢に移す。

「ってか和友じゃんか!」

市矢はどうやら彼を知っている様子。

「市矢さん、お久しぶりです」
「てか和友、兄貴を無視すんな」

可哀相だろ。

「相変わらず和友は市矢がお気に入りだなぁ」
「お、弟さん?」

そんな話は聞いたことがないが。

「こいつはアメリカに留学してたからな」
「留学と言うか、研究の手助けに借り出されただけですよ」

まったく面倒な。

「おーおー相変わらずの秀才ぶりだね」
「優秀な弟で俺は誇らしいよ」

長い前髪から覗く女の子みたいに長い睫毛に。
亜姫は一瞬見とれた。

「中里亜姫さん?」
「はっ、はい」

初めまして。

「ちなみに僕は年下ですので敬語は使わなくて結構ですよ」

のんびりとした兄とは対照的に、ミステリアスな印象。

「兄さん、僕の役職は?」
「市矢と同じ、副会長」

本当は会長をしてほしかったんだけど。

「一年が会長なんて周囲が認めませんよ」
「そう言われると思ったから副会長にしたんだよ」

それに。

「和友は目立つの嫌いだもんな」
「そういうことです」

じゃあみんな揃ったところで本題ね。

「集まってもらったのは他でもない、文化祭の話を進めておこうと思って」

テストが終わったら、生徒会はさっそく文化祭の準備期間に入ろうと思う。