「化粧販売員なんて合コンしなきゃ出会いもないんだもん。ため息なんてつかないでよっ」




『出会いならもうあっただろ？』




「え？」




『え？じゃねーよ。俺と出会ったんだから合コンはもうしなくてもいいだろ？』



長い前髪の隙間から見せる海偉の目は真剣な様子で私を見つめる。




夜だけど周りのネオンが明るくて、海偉の顔がはっきりと見える。




奥二重で切れ長な瞼の奥には他の人よりも大きな黒目。




その黒目に私が映し出されてて、ドキドキと胸が疼きだす。




たまらず目を逸らすと、胸の疼きもちょっと落ち着いた。




『沙羅？』




ドキンっ




ヤバイよ…




名前を呼ばれただけでまた胸がドキドキし始めてる。



「〜っ。海偉に出会ったって言っても私たち何にもないでしょう？

会いに来るなんて言っておきながら、一度も来ないしねっ！」



胸のドキドキを知られたくなくてそう告げたら海偉が急に立ち止まった。




どうしたのかと見上げたら、ニヤリと口の端をあげて笑みを浮かべながら私を見ていた。