胸に手を当ててふぅっと息をつくとふらりと揺れた体。




『おっと…』




回されてた腰の手で一層力強く支えられる。




「だ、大丈夫だから離して」




『こんだけふらついてて大丈夫なわけあるか。駅前でタクシー拾うまで我慢しろ。

抵抗するなら酔いが醒めるまでこのホテルで休ませるぞ』




そんな事を言ったくせに、実行なんてする気もないんだろう。




オアシスの前を通りすぎて、駅前通りへと歩き始める。




流れる沈黙が気まずくて話しかけた。




「海偉はどうしてこんな所にいたの?」




『出先からの帰り道。ここ駅前に出るのに近道だから。お前こそ何でこんな所にいるんだよ』




「わ、私も同じ理由だもん」




『あの男は?』




「……合コン相手」




答えた私に盛大なため息が落ちてきた。