行かなければ、聞かなくて済んだ?


聞かなければ、先生の事

“思い出”

として胸の中に留めておけた…?


私の耳に飛び込んできたのは…




「あ!副担だった神谷!
自殺したんだってぇ!」



嘘…?
嘘だよね…?


「知ってるぅ!
もう5年くらい前の話でしょ!」


確かに先生は今日来てないみたいだけど…。

私は思わず隣に立ってる幹太の腕を掴んだ。


先生が死んだ事を知らなかった子達が色んな質問をしては、先生の事を話題に出した子が嬉しそうに輪の中で答える。



確か
彼女は、陸上部のキャプテンだった。

先生が信頼できるって言ってた。


「何かね?私らが卒業して正式に離婚が決まったらしくてぇ。

何でも離婚の原因は神谷の浮気!
しかも相手ってのがウチの生徒だったんだってぇ!」

「「キャーっ!」」

悲鳴にも似た、叫び声が聞こえて、明らかに好奇心でいっぱいだ。