また涙目なアタシにティッシュの箱を渡しながら、裕紀は笑う。



「また泣く〜。なんだよ、そんな可愛いキャラ俺の前じゃ見せなかったくせに。」



「ちがうよ、ユキのせいで涙腺が緩んでるの!」



「ごめんな。辛い思いいっぱいさせて。これからは、サヤの不満はできる限り改善して、大事に出来るように努力する。」



「うん。アタシもワガママは控えるよ。」



「サヤはそのままでいいよ。その代わり、俺以外の男の前で泣くな。凶器なんだから。」



「凶器?何で?」



「つーか、前々から思ってたけど、お前はもっと自分が可愛いって自覚しろ!それで泣かれたら男は勘違いするんだよ、馬鹿だから。」



「キャラ変わってるのはユキの方じゃん…」



前に付き合ってた時の裕紀は、こんなにストレートに独占欲を見せた事なかった。



言いながら照れてたりして、なんだか可愛い。



そっか、いきなり不機嫌になってた本当の理由は コレだったんだ。



あの頃のアタシにはそれを見抜く心の余裕なんてなかった。