「ユキ、痛い…。」



アタシの鼻をつまんだまま、裕紀は言う。



「なぁ。俺はサヤが思うより酷いヤツだよ?」


言いながら、鼻をつまんでた手を離して、泣き疲れたアタシの髪を撫でる。



「知ってる。でも、そう言って冷たく出来ないのも分かってる。」



「都の方がいいヤツだし、ってよくは知らないけど。アイツはお前のことを一番に考えてくれるのに。」



裕紀が今、どんな表情で話してるのか怖くて、アタシは目にあてたタオルを外せないままで頷く。


「うん…。でも、アタシはミヤにもう許して貰えないと思う。自分で自分が信じられないのに、信じてなんて言えないよ…。」



「サヤ。」



名前を呼んで、裕紀はアタシの手からタオルを取る。



「俺と付き合ってても、ケンカして泣かせてばっかりだったろ?」



「うん。でもそれは、アタシがユキを独り占めしたくてワガママ言ってたから。」