走り出しそうな気持ちを自覚していてもセーブしてたのは、都はすごく優しいけど、アタシには、あくまでも《お兄ちゃん》のスタンスを貫いてたから。



まさか都がアタシに恋愛感情を持ってくれてるとは、思えなかった。



だからアタシは妹ポジションのままでいよう、って思ってたんだ。



都のおかげで失恋の傷はかなり癒えたけど、裕紀への気持ちは消えてくれそうにないし。



まだ未練があるのに「都も好き」なんて、そんな甘えたワガママは許されない。



アタシの表情に迷いを見て取ったのか、都は重ねて言う。



「そんな不安そうな顔しなくても、俺はサヤが好きだし、最初は代わりでもいいよ？ゆっくりでいいから。…まぁ、予約だと思ってくれれば。」



「アタシも、ミヤくんが好き。確かにユキへの未練はあるけど…。これからは、ミヤくんと一緒にいたい。こんなアタシで良かったら、よろしくお願いします。」



「こちらこそ、ヨロシクお願いします。」