結局、午後の講義中ずっと自分の世界にトリップしていたアタシは、やけに近くに人の気配を感じてふと我に返る。



焦点が合うと、至近距離に、日奈子の顔。



「や〜っと気付いたぁ。サヤ、とっくに授業終わってるよ!」



「ホントだぁ。ボーッとしてた。ヒナ、いつからいるの?」



「今さっき〜。教室、隣りだったから寄ってみた。」



「そっか。」



日奈子は心でも覗くように、アタシの目をじっと見つめて、反応を確かめるように話し出す。



「お昼に、ユキくんと何かあった?」



「え?…ないよ、何も。何で?」



今日に限っては、ブルーを隠し切れなくなったのは日奈子のせいだと、本人に言えるはずもない。


アタシは軽く笑ってごまかそうとするけど、どうやらこの手は通用しないらしい。



尚も、日奈子の追及は続く。