「おーい??どうしたんだよ、そんな浮かないカオして。」



裕紀はいつの間にか電話を終えて、席に戻っていた。



テーブルの向かい側で、合わせ鏡のようにアタシを真似て、頬杖をついたポーズで言う。



「大丈夫だよ、心配すんなって。サヤの友達に手出したりしないから。」



裕紀の不意打ちの攻撃に、アタシはジョークで返せる余裕もない。



「…なんて、な。今のすげー自意識過剰だった?」



裕紀は笑いながら言って、さっき貸したアタシのケータイをテーブルの上に載せる。



「じゃあ、俺は次5号館で遠いから先に行くよ。携帯ありがとな?」



席を立って、横を通り過ぎる時、かるく頭をポンポンッて叩いてく。



頑張れって励ます時の、裕紀のいつもの癖。



アタシが自分でコントロール出来てない心まで、裕紀には全部お見通しかぁ…。



時がたてばいつかは、裕紀への執着とか、未練とか、上手く浄化してくれるのかな…。



望むままに、自分の心を操れる術があるなら、教えて欲しい。