数分後、裕紀はトレーの上にソースかつ丼2人前と、デザートのフルーツ、紙パックのジュース2つをのせて戻って来る。


何も言わず、アタシの前に〈サヤセット〉を並べてくれる。



メインのメニューしか注文を聞かなくても、何を飲むとか、デザートの好みまで分かってるのが、さすが裕紀と言うべきか…。



裕紀は肩書きが彼氏から友達に戻っても、今までとアタシの扱いを変えない。


会えば普通に話をするし、時々はこうやって二人でご飯を食べたり。



たまに錯覚しそうになるけど、そこにケジメの一線はきっちり存在するから。



別れてからの関係は、やっぱりトモダチなんだ。


でも一緒に過ごした時間は嘘じゃないって、裕紀から、別れたアタシへのせめてもの優しさなんだと思う。