自分が心から信じてたものが突然崩れ落ちる、あの感覚。



永遠と信じていたもの、正しいと思っていたもの…。



何もかもが分からなくなる。



そして一度基準が揺らぐと、ゼロ地点がどこなのかも見えなくなる。



自分を信用できないから、人にも対しても、必要以上に疑い深くなる。



でも、都は全面的に信じていいって思わせる人。


今のアタシにとって、それはスゴい事。



だから、アタシは都を信じていれば良い。



暗くて淋しい記憶は、忘れよう。



アタシは何とか気持ちを切り替えて、ティーポットのお湯を足すためにキッチンに戻った都に、後ろから抱きついて甘える。



「ん?どした?」



「いきなり来て、ごめんね。…ミヤ、怒ってる?」



「いや、怒ってないけど。次から来る前に電話して。俺が行くから。危ないだろ?夜遅くに女の子が一人で歩いてちゃ。」



「ん。分かった。そうする。…ミヤ、大好き。」



「………うん。俺も好きだよ。」