アタシの情緒不安定の理由は言うまでもなく、失恋の古傷。



元彼のことで、都に泣き付くのって我ながら酷いとは思う。



でも、理由はどうあれ他のヤツの前で泣かれる方が嫌だよって、都は言うから。



ついつい、その言葉に甘えている。



良くないのは分かってるけど、他に最善の策が見つからない。



勢いで薄着のまま飛び出して、都の家まで歩いて来たせいで、身体がすっかり凍えていた。



都は手際よくミルクティーを淹れて、湯気の立つカップをアタシに手渡してくれる。



冷えた身体に、ミルクティーの温かさがじんわり染みて広がる。



こんなに優しい都に、今更まだ失恋の傷を引きずって情緒不安定なんて、言えない…。



アタシも、都がくれるのと同じ量で返せるぐらいの、優しさが欲しい。



けど、心が弱くて、気持ちと行動に矛盾が生まれる。