「はぁはぁ…早く来いよ!!」



俺達は、海を後にすると見知らぬ土地を走っていた。



「はぁ…はぁ…待ってよ!!赤茶」



「若菜!!走れよ」



若菜は、もうくたくたなのか走るスピードがかなり遅い。それに比べて、巳艶は、走るのは得意そうだ。



ノロノロ走る若菜の尻にキックを食らわすと、巳艶は少しだけ口元をゆるめる。笑うのを必死にこらえ前を見ながら手と足を動かしていた。


それにしても、ここどこだ?どこに向かってんだ?俺達…



後ろを振り返れば、いつの間にか追っ手はいない。ほっとしながらも、走るのはやめなかった。



「な?」



「はい?」



「俺達…どこ向かってんだ?」



「知りませんけど…」


「もう!!赤茶…ダメ…優しく抱っこして!!」



俺の背中に這いつくばってだらんと俺に乗っかってくる。



なんだよ!!こいつ…俺は、紫海にも抱きつかれたことないんだからな?なんで、一番が赤茶って名前で俺を呼ぶ若菜なんだよ。



どかっと若菜を下ろせば、必死に近付いてくる。