「…知らねーよ。お前が悪い」



「ミツヤンのバカ」



そう呟くと、ダッシュして砂浜を駆け回る若菜。巳艶は、やれやれと言う表情で肩を落とす。その隣で俺は、腕時計を見つめた。



もう、十時か…早いな。ドラマみれないだろうな。旭さんが、録画するとは思うけど…はまってるらしいし。



『雪合戦しようではないか!!』



『組長に笑われても知らねーぜ!!』



一条組も変な奴らのたまり場みたいだよな。雪合戦って…若菜でも言わねーよ。夏に…



そう思い俺は、砂浜に体育座りをすると、巳艶が話し掛けて来た。



「俺…帰りたいです。屋敷に」



その意見に同意するように頷くと、一条組の組長が俺を見て叫び出しだ。



「お前は!!」



人差し指を向けて一条組の組長が言うが、俺の名前を忘れたのか頭を掻いている。



そのまま忘れてろよな。



「お前は!!…誰なのじゃ?」



すてーんと転けるその他大勢。俺はわりと冷静だった。



良くこれで一条組の組長なんてやってるよな。