海に着くと、俺の嫌いな一条組の組長が、組員を引き連れて戯れている場面に遭遇してしまった。



「最悪…だな…」



『風呂に入ってると思うんじゃ!!そして、風呂につかるんじゃ!!』



意味不明な奴だよな?あの組長。



『『『へい!!組長!!』』』



ザバーン
ザバーン



組員達は返事をしてから、海に向かってダッシュ。まるで青春ドラマのつもりのような光景に俺は溜め息しか出ない。



「赤茶…俺も青春したい!!」



いきなり若菜が海を指差して言う。キラキラと輝きを放つその瞳をどこからか持ってきたハリセンで、巳艶は叩いたのだ。



「っ…バカ!!ミツヤンのバカ!!」



大きな声を出すぐらい痛かったのか、涙目で巳艶に向かって言う。そんだけ声を出せば普通は奴らに気付かれる。



だけど、波の音と、一条組の組長の声が大きくて若菜の声には全く気付かれることはなかった。